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事業戦略フルステップ戦略デザイン
経営戦略・事業計画立案に関して
☆ シンプル経営を目指すための課題やテーマ ☆
経営にはフィロソフィと実業による事業運営での持続的繁盛が、企業に課せられた使命である
バリュー創造の具現化による達成でビジョンを充たせばミッション(社会的使命)は成立する
【 1】経済の語源
漢語の経済は経世済民の略。中国の晋の国(265年~420年)のころ初出とあるが、その1,000年くらい以前の紀元前の頃に、すでにこの哲理を説いた人が実在した。
【 2】2.500年前に、経済の哲理があった
釈尊に次のような言葉がある。「貧困は不道徳、盗み、虚言、暴力、憎しみ、残虐行為といった犯罪の原因である。政府は犯罪を刑罰でもってなくそうとしたが、いかにそれが無意味で、けっして成功しない。犯罪を根絶するためには、人びとの経済状況が改善されるべきだ。農民には、種と必要な農具が支給され、商人や事業主には必要な資本が提供され、労働者には適正な報酬が支払われるべきである。十分な収入が得られる機会が民衆に提供されれば、人びとは満足し、恐れや不安から解放され、その結果として国は平和で、犯罪はなくなる。 … まっとうな手段で得た十分な富と経済的安定を享受すること。自分のため、家族のため、友だちと親族のため、そして慈善事業のために自由に支出できること。借金がないこと。」(『ブッダが説いたこと』ワールポラ・ラーフラ著 今枝由郎訳 岩波文庫)P・Fドラッカーがもしこの釈尊の言葉に触れたなら、企業の社会的責任についての教示はもっと平易に伝えられたのではないか。
【 3】企業は、世を治め・民の苦しみを救い・平安で豊かな暮らしを創り続けることに貢献
いずれにしても、世を治め、民の苦しみを救い、平安で豊かな暮らしを創り続ける目的の経済を支える一員としての企業が、そ の貢献のために果たしている役割が大きいのは言うまでもないのであるが、その意味で存続し続けなければならない使命、つまりドラッカーがいうところの社会的責任があるということであろう。単に税金を納めるだけの、または企業メソナの話だけではない。
【 4】社会と経済のなかで企業が存続するための条件
「売上はすべてを癒す」と言われるように、持続可能な成長を繰り広げながら企業が存続するためには、売上の拡大が基本で、売上げはお客に商品(製品・サービス)を販売(提供)したその代償にいただく代金である。市場で顧客が支出する総額(市場規模)を努力に見合う額で配分されて得られるものとも言える。いずれであろうと売上がない限り会社は儲けが出ない。
という事は、「売上げればすべてが癒される」訳ではなく、売上げた結果儲けが出るから癒されるのである。
この儲けこそが売上ての利益であるが、「どのようにどれくらいどこから利益を出せばよいか」についての共通認識が末端の営業担当者やマーケティング担当者になければ、大きなロスを生む。
「どのように」についても様々な視点があるが、その一つとして浮き彫りにしておきたいものは、「安定した大きな利益を得る」ように仕向けるにある。不安定で得る利益や小さな利益では、過当競争に巻き込まれ薄利多売に陥り、働けど働けど疲労困憊が募るだけと、とかくなるからである。
このテーマも「貢献するため社会と経済のなかで企業が存続するための条件」の一つであるから、事業計画や事業戦略はもとより、機能別戦略(個別戦略)立案やそれを受けての営業活動・販売展開において、外せない。
「どれくらいどこから利益を出すべきか」について、事業計画や事業戦略、機能別戦略(個別戦略)立案においてこれも共通認識が不可欠である。
対前年比とか対前年同月比程度で済まされる問題ではない。営業担当者が、自分の年収すら利益を得ていないその実態ではあまりにもその結果は無責任であるが、こうした場合、上司や同僚や経営管理者や経営者は、あるいはマーケティング担当は、その営業マンの不出来にたいし何か具体的な手を打って補完しているか。
「どれくらいの利益を稼ぐか」の基本情報を、立案者や営業担当者に先ずは明示しなければならない。目標額の総額だけの提示ではなく、企業が存続するためどれだけ稼げねばならないかの総額の根拠を示すことだ。
その明示のための下敷きの、
企業が本業を通じて事業で得る売上 – 売上原価(仕入れ材料費や工場など製造部門の給料)= 売上総利益 = 収益 –
販売管理費(企業活動に必要な支出の、販売費 = 営業部門の従業員に支払う給料や各種手当 + 販売手数料 + 販売促進費 + 広告宣伝費 + 荷造運賃 + 旅費交通費 + 交際費 + 他営業に関わる費用)+
一般管理費 = (管理部門の人件費<給与手当 + 退職金> + 役員報酬 /役員賞与 + 法定福利費 + 福利厚生費 + 事務所の家賃/地代家賃 + 修繕維持費 + 動力用水光熱費 + 新商品や新技術および新規事業の研究開発費 + 通信費 + リース料 + 消耗品費事務用品費 + 減価償却費・設備投資) =
営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用 = 経常利益 + 特別損益の加減 = 税引き前当期純利益 – 法人税、住民税および事業税 = 税引き後利益 = 当期純利益
これが提示の下地となる。
企業が存続し発展し続けるには、「売上原価(コスト)や費用および経費(販売管理費・一般管理費)および税金必達」が条件で稼ぎ出さなければならない。売上げを上げて売上総利益を叩き出さなければ始まらない。「売り上げはすべてを癒す」の言葉はここにある。
これをベースにしてどのように示すかを検討することになるが、そのためには、基本的に押さえたうえで実施しなければならない課題が多岐に亘ってある。そのなかにはヘビーで煩わしいものも多くあるが、限られた経営資源の中でそれらをも全員で克服していかなければならない。もちろん総責任者は経営陣ではあるが、中間管理職の人は経営陣と共に経営戦略を履行しつつ事業計画の目標必達に向け、従業員をコントロールすることになる。
「売上げを上げて売上総利益を叩き出す」というテーマは経営陣から末端の従業員が一丸となって片時も忘れずに与えられた任務を確実に遂行することが使命となる。これが会社人のルールである。
ついでにここで「費用・コスト・経費」の相違の説明を簡単に加えておきたい。それは何故かというと、これらに関する情報のなかに、これらを一緒くたにして「コスト」に集約して語っているものをよく見かけるのであるが明らかに相違があり、説明の受け手側の解釈に誤解があってはならないからである。
企業が支出するカネは費用・コスト・経費に大別でき、「何もしなくても必要な費用と、商品(製品・サービス)を創り出し生産するコスト(原価)と、販売にまつわる経費」でくくって管理される。これらを明確にして相互確認して用いなければならないことがあるから、通常から区分けして用いるほうが良い。
いずれにしても、企業が事業運営を通じて支出する費用・コスト・経費の原資は、売上げを立てての売上総利益の中から賄い続けなければならない宿命となる。
「費用」の項で示したように、費用は、事業運営において、何もしなくても出費するカネが意外と多額で存在するし、販売実績が芳しくないときや競合他社の動向次第では、予定を超える「経費」を必要とすることもある。もちろん戦略的にコストを高めたほうが業績が見込めることもあるが、ムダな支出は避けたいという管理面から、「コスト一辺倒でないほうが問題発見と課題解決には有効となる。
さて本論に話を戻すと、ほとんどの場合、市場で競合他社と競い合っている。顧客が支出する額の総額のどれだけをシエアリングするか、を実施も戦略も計画も立脚に置くべきである。
「売上げを拡大し、大きな安定した利益を得て、ライバルとの勝負に勝利し、シエアを拡大する」
これが営業の命題である。
この命題の⑴「売上げ拡大」⑵「大きな安定した利益を得る」⑶「ライバルとの勝負に勝利」⑷「シエア拡大」に向けて、社長もマネジャーもマーケティング担当も営業担当者も新人も外部パートナーも片時も忘れ時にそれぞれの達成に向けて実現しなければ社会貢献の使命は果たせ得ない。果たせなければ仕事したことにならないのではないか。黒字が続く業績を死守しなければ、社会へ責任を果たせない。
社会へ責任を果たすには、先述の「企業が本業を通じて事業で得る売上~税引き後利益 = 当期純利益」までの「利益と費用・コスト・経費」などのそれぞれ見込み金額を以って試算を行なえば判明することである。
この試算で、毎月どれだけの利益を売上げでつくり出さなければならないかが明らかになる。社長から末端の従業員までの全員が、片時も忘れずに生み出す努力が必須で、達成できないことが続くと早晩倒産の憂き目に遭う。
企業を存続し成長・発展するために「安定した大きな利益」が必要。この利益は商品(製品・サービス)を購入し、継続して利用・使用・消費してくれた顧客が多く存在することで求められる。
だからこそ、固定客とか愛用者を競合他社よりも多く持ち続けるために尽力することが事業活動で必須のテーマとなる。
この関係性を維持・発展させるためにドラッカーは、「企業の目的は顧客の創造である」と言い切っている。
市場において競合と、この目的を共有して競争するから市場は活性化し、益々経世済民が実現されていく。
更にドラッカーのたまわく、「企業は社会と経済のなかに存在する。社会や経済は、いかなる企業をも一夜に消滅させる。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、有用かつ生産的な仕事をしていると見なされるかぎりにおいて、存続を許されているにすぎない(『マネジメント』ーより)。
経済的な業績こそ、企業の第一の責任である。
少なくとも資本のコストに見合うだけの利益をあげない企業は、社会的に無責任である。社会の資源を浪費しているにすぎない。
業績をあげられないのでは、企業は他のいかなる責任も遂行できない。よき雇用者にも、よき市民にも、よき隣人にもなれない(『ポスト資本主義社会』ーより)。
マネジメントは、公共の利益に無関心でいることはできない。
しかも、自らの利益を公益に従属させるだけでは十分でない。まさに公益とすることによって、公益と私益の調和を実現しなければならない(『現代の経営』ーより)」
これを実現するためには、事業活動で必須のテーマである「固定客とか愛用者を競合他社よりも多く持ち続けるために尽力すること」となる。
【 5】なぜ企業は事業利益を得るのか
「なぜ企業は事業利益を得るのか」、「なぜ企業は事業利益を得なければならなるのか」の答えは、前項末尾のドラッカーの所説にある。
企業の目的とするところの顧客の創造を果たすために相応の知恵と努める力が必要となる。それを支えるには「原資が必要」である。この目的を共有して市場において競合と競争するにも「原資が必要」である。
企業は、社会や経済の許しがあって存在していて、有用かつ生産的な仕事をしていると見なされるかぎりにおいて、存続が許されるのであるが、有用かつ生産的な仕事を為さなければ一夜にして消滅するから目的遂行のため「原資が必要」である。企業の第一の責任である経済的な業績を挙げるためにも「原資が必要」である。少なくとも資本のコストに見合うだけの利益をあげ社会的に責任を果たすためにも「原資が必要」である。社会の資源を浪費しないためにも「原資が必要」である。よき雇用者に、よき市民に、よき隣人になるためにも「原資が必要」である。公共の利益に関心を示すためにも「原資が必要」である。自らの利益を公益に従属させるだけでは十分でなく、まさに公益とすることによって、公益と私益の調和を実現するためにも「原資が必要」である。
これらを現実化するためにも、これら原資をつくり出すためにも企業は、顧客を創造しなければならない。
ビジネスは、優勢市場で質の高い顧客を多く持った方が勝利する。
質の高い顧客は固定客として企業に安定した利益をもたらしてくれる。しかも質の高い顧客は質の高い見込み客を呼び寄せてくれる。質の高い顧客には大きな経費を必要とせず、ロスも比較的生まない。質の高い顧客と質の高い見込み客とで、安定した大きな利益をもたらしてくれる。
だから質の高い顧客を創造するためには、安定した大きな原資が必要となる。
平安で豊かな暮らしを創り続けることのできる顧客のために企業は貢献する使命がある。この使命を果たすためには多大な費用とコストと経費を必要とする。これがなければ企業は成り立たないから、原資必達は必須となる。
そして企業は元来、仕組み上衰退するようにできている。企業体を支える原資がなければ企業は成り立たない。企業には命の限りがあるため、自らの力で持続可能な成長を遂げ続け、崇高な使命を果たして社会に貢献し、社会の構成員としてメンバーに与(くみ)するように努めなければならない。
このため、生産性の高い営業活動が求められる。
そして市場において競合他社と健全で秩序ある競争を繰り返し、そのつど勝利し、質の高い顧客の継続利用・継続使用を通じて固定客・愛用者として安定した大きな利益を得て、更に原資をもたらしてくれる顧客のために一層の満足を創造し還元するために事業は展開し、企業は社会に貢献するために存在している。
だから、そのための売上と利益(売上総利益)を稼げねばならない。これを稼ぐために組織がある。
前項に掲げた営業の命題である「売上げを拡大し、大きな安定した利益を得て、ライバルとの勝負に勝利し、シエアを拡大する」仕事をやり遂げるのである。なぜ企業は事業利益を得るのかの答えはここにある。
これからの起業においても、通常のビジネスステージでの事業活動においても、新しい商品・サービス提供の事業を展開しつつ、フットワークの軽い経営を実現しようとするベンチャーにおいても、イノベーションを通じて人々の生活や社会を変革を目指すスタートアップにおいても、企業が本業(実業)において事業利益を得るに当たり基底に置くべき要件を確かなものとして位置づけることが望ましい。
「なぜ企業は事業利益を得るのか」、「なぜ企業は事業利益を得なければならなるのか」について、見逃してはならない重要なテーマがある。それはこの視座で事業を行い、売上と利益を得て企業が発展しつづけるのは「ヒト」による推進あればこそであり、殊に経営者は、従業員の価値創造に重きをおかなければならない。
事業展開を通じてすべての価値、すなわち、商品価値・提供価値・顧客の継続利用価値・顧客価値・企業価値などのプライオリティナンバーワンの価値創造は「従業員価値」である。
従業員の価値が欠如もしくは僅少ななかで、商品価値も提供価値も顧客の継続利用価値も顧客価値も企業価値も生まれない。
経営者は何を以って従業員価値とし、それらを高める施策を果敢に講じなければならない。EVP導入以前の基本の「き」である。利益配分をかつてのように株主への配当と役員報酬・賞与優先にすべきではない。ヒトあっての事業である。ヒトあっての社会貢献である。だからと云って収入だけがテーマではない。優秀な人材を活用するには「経営者価値」と「経営の価値」が不可欠であることを経営者は肝に銘じるべきである。
云うまでもないことであるが、そうでなければ優秀な人材はその企業に定着しない。定着が覚束なければ顧客の継続利用価値も顧客価値も企業価値も生まれないから社会貢献の使命も果たせず、その企業は社会が存続を許してくれなくなるからである。
【 6】企業存続と発展をもらす方向で考察すべき課題
事業運営を失敗しないために、現業務を考察するその方向を見誤らないために、ここで一度、P・Fドラッカーの諸説を訳者の知見を交えて整理しておきたい。それはつまり、
経営計画・経営戦略・事業計画・事業戦略・単年度経営計画立案を受けて
戦略的視点を持ち、戦略の合理性を追求してのセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング・4P(商品・チャネル・価格・プロモーションの各政策)・独自化、差別化・競争優位などマーケティングを組み立て、
それらを通常のビジネス・ステージでの事業活動で
中・長期販売および短期決戦型販売の二本立てで展開するに当たって、高い生産性やイノベーション等の戦略立案の視座を外さないため考えるべき「顧客絡み」のテーマの一例のタイトル(項目)は以下となる。
改めて考え直すと、事業とは
企業と顧客との関係性・顧客が出費する理由
それを受け企業が継続的に安定した利益を上げる方法
需要を生み出しているのは誰か・事業と顧客との関係性・顧客は誰か・企業と事業の目的と顧客
経営者が明日の成果を上げるため今日すべきことは何か・事業が何かを決めるその対象のテーマは何か・企業組織は何のために存在するか・結論として企業の目的は何か
P・Fドラッカーの云うところの「顧客の創造」とは何か・顧客の創造をどう解釈するか・そのリスクとそれを回避する着眼点・顧客創造作業の方向
顧客の購入行動における商品価値と価格との関係・業績を上げる本質・マーケティング展開の最初のテーマ・顧客の目的は何か・商品購入者の一塊でビジネスになる要素が生まれ市場は形成される・生活の基本を成す10種の価値観をどのように反映するか・主要ターゲット顧客のプロフィールと利用・使用・消費のT・P・Oを描く・市場ニーズと顧客ニーズ・潜在ニーズの顕在化・顕在ニーズの具体的なイメージ形成・ニーズの変化と適合・ニーズとウオンツのミックス
既存顧客へのテーマ・鞍替え可能なお客へのテーマ・無垢な新規見込み客の創造・顧客づくりのターゲット別テーマと展開・需要の喚起・営業力は質の高い顧客の数に比例する
顧客満足の目標・ニーズに応えるために何が必要か・顧客満足を生み出すものは何か・顧客の購入の原則・顧客満足を得る最善の方法
競合他社の存在と関わり
ここまでを振り返ってのビジネスの本質とな何か
顧客が感じている魅力とは・顧客にとっての自社の魅力・人の幸せとの関係・企業も人も推し進めるべきは自分の強みで社会に貢献・リソースの集中化
購入の目的と顧客にとっての価値・原則とルール・利益を得なければビジネスは成り立たないを目的化していないか・短期決戦型販売活動に追われて大きなロスを生じていないか・利益を生み出す機能は何と何か
これら一連の準備を調えての顧客に伝えるべきことは何か・認知拡大のテーマからはじまる・見えるということ見せるということ
推進プロジェクトの適性能力と目標達成意欲・改めて組織の存在を明らかにする・そしてもう一度、マネジメントとは何か・中期経営計画立案の手順の再確認・カネは付いてくるもので追うものではない・質の高い事業体にする
これら「顧客絡み」のテーマは、企業規模の大小を問わない。安定した大きな利益を得て、維持・発展の原資を生み出しつづけるテーマ解決の経営の舵取りのため俯瞰すべきであると考える。
【 *】社会へ「役割と責任」の使命を果たすための成長戦略はどのような視座で構築するか
この答えの概要を当ホームページ別メニューの「事業計画の範囲」に記した。
つづきは執筆中。
リスキリング(Reskilling)要件定義
リスキリングという用語がある。デジタル時代の人材戦略に関する用語で、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されている。「リカレント教育」でもなく、単なる「学び直し」でもなく、アップスキリング、アウトスキリングでも意味合いが違って、ビジネスモデルや事業戦略が変わることで人材戦略も必然的に変える必要があることから生まれた概念であると言われている。
これはこれで大切なことだろうが、リスキリングを必要とする企業と対象者の数は極(ごく)限られているであろうし、新時代の人材戦略として大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得する/させることは今に始まったことではないばかりか、そもそも通常業務にあって変化に適合するために必要なスキルを獲得する/させることの必要性は、全ての企業と全ての業務関係者に言えることであるが、問題は何ら手が打てていないのに、願望が先だって、儲からないとか売上が目標に到達できていないとか、顧客の減少に歯止めがつかずに悩んでいる者が圧倒的に多い点が指摘される。
その意味で、業務設計したうえで実施し、見直し、再構築して関与者で共有しなければならないことに気づいていながら、現場でそれができていないままでいるならば、それは願望の領域に留まる結果となるだろう。
とかく組織に従事する人が存在して業務が分担されることに問題がある。効果・成果を出すための課題解決のできる人がその機能と役割を果たすが故に効果や成果が出るのであって、業務担当者がその任務を遂行するにあたって、適性能力と達成意欲を必要とされる。
成果 = 適性能力 × 達成意欲 ・・・ だからである。
業務テーマと目標を追求し、効果的に業務を展開実施し、成果を得る。これが出来て初めて仕事したことになる。
あくまでも期首設定の業務テーマと目標にたいし、担当業務の課題解決ができるスキルを持った者が担当しなければ、効果も成果も期待できない。
故に先ずは、必要な業務を設計しなければならない。
このことから、業務設計として要件定義を整理した。その一部の87の切り口を下記に書き連ねた。これらが活動を通じて検討され、ひと工夫、ふた工夫の改善を繰り返すことで勝負に勝つことになるのである。
単年度の事業計画も中期事業計画も経営戦略も、業務設計に基づく課題解決の仕事があってのことで、要員計画は担当業務達成に必要な適性能力の保持者が当たることとなる。
工夫・改善は毎日・毎回行なうくらいの頻度で実施することが求められ、これは推進プロジェクト全員がバランスよく、例えば6名のメンバーであったとすれば正六角形が最終形。プロジェクト・マネジャーも新人も、その立場・業務に応じたスキルでとなる。
ベテランは適性能力の要素となるその業務の「知識」・「経験」・「スキル」がほぼ完成に近いと言えるかもしれないが、新人など未熟者が居るばあいは上司や先輩が未熟者の欠陥部分の指導や肩代わりするなどして、バランスのとれた推進が求められる。成果はこのバランスと比例するから。言い換えれば、欠陥を欠陥のままにしてはならないということで、この認識は上から下まで全員が心掛けねば成果に責任が持てない結果を招く。
では何を以って適性能力となるか。それはスキルに他ならない。効果や成果を生み出すスキルは何を以って成り立つか。それは経験の積み重ねからである。麦踏みのようなひたむきな努力によってスキルは身につく。そして重ねての経験を有効かつ効率的にし、創造性を高める結果にするために、それを支えるものは知識である。
つまり成果達成に必要な業務に「知識」・「経験」・「スキル」は欠かせない要素である。スキルも経験も知識も無い者を担当づけたとすれば、その業務には期待できるものは何一つとしてない。
そこで、どのようなスキルや経験や知識が必要なのかの課題解決のために業務設計があるのであって、それを具体化するために要件定義の認識が求められるのである。
持ち合わせた者が達成意欲を持続させればこそ成果となる訳で、業務設計と見直し、そして工夫と改善を無視あるいは放棄するなど怠ると、成果は出ないか僅少で終わることとなる。
リスキリングの大前提の、要件定義を、現場の業務に照らして、何を何からどのようにやるかを検討することは、経営において重要テーマである。
では、業務設計と工夫・改善と見直しにおいてどのような点に着目してそれを成すか。それら項目を列挙してみよう。
1.【期待する成果】
期待する成果にたいし、何をどの程度貢献してどのようなことを結果として生み出すか。
2.【業務と効果】
成果達成を具体化するための実施効果を戦略化してコントロールしているか。
3.【業務の必要性】
その業務は、成果達成のために何と何が必要か。なぜ今必要か。
4.【業務の目的】
達成すべき成果を出すために必要な業務のその目的は何か。
5.【期待する業務】
業務を通じて期待することは何か。
6.【業務の重要度】
その業務はどれだけ重要と言えるか。
7.【業務の難易度】
その業務はどのような点で難しいと言えるか。どの程度の達成で当面良しとするか。
8.【業務の緊急性】
成果達成においてその業務は最優先として取り組むべき緊急性は高いか。
9.【経営者の期待と業務】
その業務について会社側はどのようなことの結果に期待していると言えるか。
10.【業務のポテンシャル】
業務遂行において、何をどれだけ結果が出せる可能性があるか。
11.【業務の期待度】
その業務の目的と達成すべき目標を見据えてどの程度期待できるか。
12.【業務目標】
業務を通じて、いつからいつまでに何を目的のテーマとしてどれくらいを目標にして目指すか。
13.【業務指針】
やらなければならないことをせずに、やってはいけないことをやって仕事を済ませていないか。
14.【ライフサイクルと業務】
商品や仕事のライフサイクルに沿った業務を行っているか。
15.【業務のライフサイクル】
その業務のライフサイクルを配慮して、見合った対応ができているか。
16.【変化と業務】
あらゆる変化に適合した業務を遂行しているか。
17.【業務と勝利】
すべての仕事は競合他社との勝負だ。勝ち抜く力を育てているか。
18.【業界と業務】
業界が向かっている方向に即した業務か。
19.【競合他社と業務】
競合他社動向を見据えた業務か。常に勝ちを求めて動いているか。
20.【目標設定】
目指した目標の設定に誤りはないか。
21.【業務と目標管理】
ドラッガー提唱の目標管理が現業務に反映されているか。
22.【業務評価】
業務評価基準を設定し、日常業務にリンクさせているか。
23.【業務目標到達】
目指した目標の設定に誤りはないか。
24.【業務の成功】
何をどれくらいを以って成功とするか。
25.【業務内容・業務概要】
業務内容を簡単に説明するとどういうことでまとめられるか。
26.【業務の永続】
その業務はレギュラーか。永続性は高いか。スポット業務か。その意味合いを掴んでいるか。
27.【業務のデジタル化】
業務設計の再構築と共に推進するデジタル化にたいしアナログも考慮しているか。
28.【他業務との関連性】
その業務は成果達成においてどのような他の業務と関わっているか。
29.【業務と上司・部下などとの関係】
上司や部下、他部署・協力者との日々の関わり方は良好か。
30.【組織と業務】
組織全体で達成しようとする勝利に向けて、貢献する業務を遂行しているか。
31.【外部組織と業務】
有力パートナーやアライアンスと協調して質的向上が図れているか。
32.【業務と人材戦略】
業務遂行にふさわしい人材を配置して機能と役割を果たしているか。
33.【業務とリーダーシップ】
より良い業務とするためにリーダーシップやコーチングは発揮されているか。
34.【業務とボトムアップ】
より良い業務とするためにボトムアップを具体的に推進していると言えるか。
35.【業務の関係性】
関連する業務の関与者とどのように協調すべきか。
36.【遂行業務の見直し】
その業務に関しての現状・傾向・問題点は何か。課題は何か。優先テーマは何か。
37.【業務と価値創造】
顧客価値・商品価値・利用価値・安定した収益獲得の価値・企業価値等創造しているか。
38.【現業務の位置づけ】
現業務の価値を高める具体策を講じているか。価値を生み続ける業務になっているか。
39.【業務分析】
期間中に効果を出し生産性を高め成果に貢献するための分析を行っているか。
40.【業務遂行の計画】
何を何からどのようにやるか。
41.【業務で用いる用語】
業務で用いる用語は共通言語として他者と共有できているか。
42.【業務とカネ】
業務遂行に伴う費用とコストと経費は計画どおり予算管理されているか。
43.【業務の流れ】
その業務を絡めての仕事の流れはどのようなことになるか。どのようなステップを踏むか。
44.【業務の手順】
遂行業務はステップに応じてどのような手順で臨むか。
45.【業務のチェック】
業務のチェック事項とその評価を考慮しているか。
46.【業務の留意点】
業務遂行において、何に留意すべきか。
47.【結果を出す準備】
その業務の結果として出すべき成果のために何を準備するか。
48.【業務上の約束事】
業務上の約束事は何か。関与者をふくめて守られているか。
49.【業務のルール】
保守義務を含め禁止事項を把握し、遵守するなどルール・活動規準を整備しているか。
50.【業務関連の法務】
業務関連の法規制は何か。その遵守を含めての法務の準備はできているか。
51.【業務のボリューム】
テーマの増やし過ぎや実施のやり過ぎを考慮しているか。
52.【業務の準備】
業務の着手時に何を準備するか。段取りはできているか。
53.【業務遂行のツール】
有効性・効率性・創造性のために役立つツールは何か。
54.【業務の手離れ】
業務の手離れのタイミングはどの程度達成の時点とするか。
55.【業務のフィニッシュ】
業務遂行のフィニッシュのあり方はどのようなものであるべきか。
56.【他業務との関係】
業務遂行において他業務関与者への関係性で配慮は為されているか。
57.【他業務と協調】
助け合いの関係性を考慮しているか。チームワーク・チームマネジメントは最適か。
58.【業務管理】
業務遂行と成果達成において、他業務を絡めて何を以って進捗管理とするか。
59.【業務の時間管理】
マンスリー、ウイークリー、デイリーなどにおいての時間管理は共有しているか。
60.【業務とホウ・レン・ソウ】
業務遂行と成果達成の進捗に関して、ホウ・レン・ソウをどのように組み立てるか。
61.【業務のまとめと繋ぎ】
業務のまとめ方やつなぎ方は整備しているか。
62.【業務の要件定義】
業務のまとめと繋ぎは、要件定義に沿ったものか。
63.【業務設計】
成果達成に必要な適性能力と達成意欲持続発展に向けて生産性の高い設計をしているか。
64.【業務とソリューション】
課題解決型業務とするために、企業リソース・経営資源に照らし合わせているか。
65.【業務達成意欲】
熟練者に見られるようにスキルがあっても達成意欲に欠ける人が居る。調整しているか。
66.【業務スキル】
スキルアップに向けて企業は環境を調え、勉強の成果を現場の業務に反映しているか。
67.【業務と適性能力】
業務遂行は適性能力発揮で実現するが、役割分担でその課題は機能しているか。
68.【業務と勉学】
業務の生産性と効果・成果に結ぶスキルを実学から修得しているか。
69.【業務とPDCAサイクル】
業務にPDCAサイクルが日々回っているか。
70.【業務経験】
必要なスキル獲得のためには、そのための経験を重ねならなければならない。できているか。
71.【業務知識】
経験を有効的・効率的・創造的にするため、その支えになる必要な知識を身に着けているか。
72.【業務と生産性】
遂行業務の生産性、つまり有効性・効率性・創造性を高めているか。
73.【業務とイノベーション】
遂行業務の維持・発展のため、マンネリ防止のためイノベーションを行っているか。
74.【現業務のマンネリ】
現業務に慣れすぎてマンネリ化を招いていないか。新しいものを取り入れているか。
75.【業務とマーケティング】
業務に関してのマーケティングを踏襲しているか。
76.【業務と細分化】
業務課題・業務テーマはセグメントしておこなっているか。
77.【業務とターゲッティング】
業務とターゲッティングは適切にリンクさせているか。
78.【業務と戦略】
業務遂行において戦略を組み入れているか。
79.【商品政策と業務】
プロダクト戦略や品質管理等商品政策にまつわる業務の精度を高めているか。
80.【価格政策と業務】
価格戦略・価値に見合った価格政策等にまつわる業務の精度を高めているか。
81.【チャネル政策と業務】
チャネルの幅・長さ・チャネルミックス等にまつわる業務の精度を高めているか。
82.【プロモーション政策と業務】
プロモーションテーマ・手段・手法・効果にまつわる業務の精度を高めているか。
83.【誤った戦略と業務】
組織は戦略に従うとしながらも、誤った戦略に振り回されていないか。
84.【新規事業開発と業務】
持続的成長に不可避と言える新規事業開発に適合した設計プランを持っているか。
85.【将来必要な業務】
新たな業務も含め、将来必要な業務の検討後、中期事業計画に反映しているか。
86.【業務とリスキリング】
変化適合は不可欠が故、常時更新設計の必要性に基づき準備しているか。
87.【業務と結果】
ここに列挙した業務に関する要件に着手せず競合他社は実行したならば、どうなるか。
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